
LAQUE 10th anniversary
My Tracks /山下有佳子
更新日:2021年9月2日
京都を舞台に活躍する女性たちの軌跡 (Tracks)
そしてこれから

今年度より新しくスタートした "My Tracks"。今回は2017年よりGINZA SIXのアートギャラリー 「THE CLUB」マネージングディレクターを務める山下有佳子さん。山下さんの軌跡とこれからについて話をうかがい、そして今年4月、ラクエ1階に新しくオープンした「EVERYSOY(エブリソイ)」を編集部と訪問します。
「あなたらしく、あなただけの道を、あなた自身が切り開く」そのために、私はJUMPすることを恐れず、常に挑戦し続けます。
祖母の「言葉」が教えてくれたもの
私の祖母は、自分の道を自ら切り開き、主体性と自立、自信を兼ね備えた人間になることを私に教えてくれました。
京都で祖父の茶道具商に嫁ぎ、妻として家を支えた祖母。祖父が先立ち94歳で亡くなる直前まで、店の切り盛りに加え、海外の友人を訪ねたり、歌舞伎を見に行ったりと、人生を楽しむことに全力を注いでいました。印象的だったのは、祖母がよく口にしていた言葉「自分を楽しませるのは自分。だれかに頼るのではなく、自分で自分のご機嫌を取るのよ」。ここから私は主体性と自立を学びました。
祖母なりの人生の楽しみ方には、利他のこころがあったように思います。常に自分のまわりの人と共に人生を楽しもうとし、その姿は自信に溢れていました。他者が自分の意志に賛同し、自分はもちろん他者もハッピーになれた瞬間に、自信が生まれると思うのです。
自分達が楽しいと感じることをやる理由
家業の歴史もあり比較的厳格な家に生まれながら、物心ついた頃から海外に行きたい!と目標を立て、アートビジネスを学ぶべくロンドンへ留学しました。
その後、当時、新卒採用がなかったサザビーズジャパンへ「どうしても働かせてください!」と、直談判して入社。銀座 蔦屋書店が、GINZASIXに出店する際、増田社長の鶴の一声でアートギャラリー「THE CLUB」を立ち上げました。私の役目は、まだ広く知られていない若い才能を、世の中に繋ぐことだと考えており、日々新しいアートやアーティストを開拓することが生き甲斐になっています。
チームのモットーは「みんながハッピーになれるように楽しくやろう!」自分達が楽しいと感じることをやり、自分の仕事に自信を持てるように常に努力を惜しまない。祖母から学んだ利他のこころはここに生きています。
(文:山下有佳子)
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<インタビュー>
編集部:お祖母様の生き方に強く影響を受けられたのですね。
山下さん: はい。私は東京で生まれ育ちましたが、京都に行く度に祖母から色々なことを教わり、彼女の生き方がインプットされています。
編集部:「自分を楽しませるのは自分。だれかに頼るのではなく、自分で自分のご機嫌を取るのよ」という言葉は、どんな場面で聞かれたのですか。
山下さん:何でもない日常の中です。ある日祖母を訪ねると、彼女は新聞のバレエ公演の記事などを切り抜きし、「今度はこれを観に行きたいのよ。」と楽しそうに話していました。何が自分をハッピーにするかを知っていて、これが大事なことだと言っていました。
編集部:その言葉の影響を感じた瞬間はいつですか。
山下さん:ロンドンに留学した時です。前述の通り私の家族は保守的で、海外で暮らしたり、英語が話せたりする人はいませんでした。もちろんロンドンに知り合いもおらず、英語も話せず、ひとりで必死に過ごしていた時に、祖母の言葉を思い出しました。花を買う、マニュキュアを塗る、そのような些細なことで自分が楽しくなれることに気付き、大きな心の支えになりました。
編集部:困難に負けないための、素晴らしい言葉ですね。今の時代にも伝えていきたいと思いました。ところで、山下さんが現代アートに興味を持たれたきっかけは何ですか。
山下さん:家業の影響で幼い頃から古美術を通じたアートは身近にありましたが、所謂「目で見て綺麗なもの」でした。現代アートに興味を持ったきっかけは、小学生の頃に美術館で見た荒木経惟さんの作品です。その表現方法は当時の私には衝撃的で、なぜ美術作品として評価されたのかを知りたいと思いました。

編集部:現在はTHE CLUBを通じ、現代アートを世の中に発信していらっしゃいますね。目指す「これから」を聞かせてください。
山下さん:少しでも多くの方が作品にアクセスでき、知ってもらう機会を増やしたいです。現代アートの面白さは社会を写す鏡であり、ビジュアルランゲージであることです。一昨年から去年は女性アーティストへの注目が高まりましたが、その背景には、「#MeToo」をはじめとした社会運動との関係が見てとれます。今はコロナ禍の不安を払拭するような作品が多いように感じます。
ニュースを見てもよくわからないようなことが、アートを目の前にすれば何かしら感じることができますよね。これが世の中に必要なことだと思っています。
編集部:京都での活動もお考えですか。
山下さん:自身のルーツがある京都で、これからの才能を支えるお手伝いしたいと考えています。そのために昨年から京都芸大の客員教授として勤務しています。未来に羽ばたく芸術家が集まれるようなコミュニティも作っていきたいですね。
祖父母は1982年から「修学が困難な生徒のために」と微力ながら京都市に寄付をさせていただいていました。そうした姿を見て育ったので、これからはアートの力を楽しむだけではなく、社会貢献にも繋げたいと考えています。
山下有佳子 × EVERYSOY
今年4月3日、1階に新しくオープンした「EVERYSOY」を訪問。代表取締役の橋本さんからお店について紹介していただきます。
〜こだわりの無調整豆乳を、
「Stop, Soy ‘n Go」朝食や昼食に、ちょっとSoyしてください。〜
山下さん:内装もとてもオシャレなお店ですね。早速ですが、このお店ができた背景について教えてください。
橋本さん:私達は140年続く湯葉の会社です。昨年からの新型コロナの影響もあり、湯葉以外で何か新しいことにチャレンジできないかと始めてみた結果、とても美味しい無調整豆乳を作ることができました。この味をぜひ皆様に味わっていただきたいと、このお店を始めることになりました。

注)現在店内ではスタッフはマスクを着けて接客を行なっております。
味だけではなく、豆乳は湯葉と同様にタンパク質が大変豊富で栄養価が高いため、健康に気を遣われている方にも飲んでいただきたいというのがコンセプトです。
山下さん:それは嬉しいですね。私も健康のために、普段からタンパク質を摂るように心掛けています。
〜まずは看板商品のソイチーノ〜
橋本さん:こちらは濃度の違う2種類の豆乳を使用し、グラスですと2層になっているのが分かります。

上が濃厚で飲みやすいフォーム状の豆乳、下は最高級の豆腐にも使われる大豆を使い、甘味が強く味わいがあります。
おすすめはビスコッティとのセットですね。メニューの横に書かれている三角形を見てください。これは30〜40代の女性が1食分に必要とされるタンパク質、脂質、炭水化物の量を表しています。
このセットですと、タンパク質と脂質は1食分がクリアできます。そしてビスコッティの60%以上は大豆粉でできているので、炭水化物は抑えることができます。
山下さん:これは分かりやすくて、健康が気になる方には親切な表示ですね。


P(protein=タンパク質)、F(fat=脂質)、C(carbohydrate=炭水化物)
山下さん:泡がソフトクリームみたいです。クリーミーすぎて髭ができそうですね(笑)。
橋本さん:こんなにクリーミーになることは市販の豆乳では難しいです。

山下さん:豆乳の独特の臭みがなく、味に丸みがあります。癒し系で、ほっこりします。ホワイトチョコレートが入っているような感じがしますね。
橋本さん:豆乳が一番甘く感じる68度で提供しています。これ以上温度が上がると臭みが出てしまいます。また、飲みやすいように少しオリゴ糖を加えています。

(しっかり髭ができました!)
山下さん:プレーンのビスコッティはドライフルーツとナッツが沢山入っていて、カリッとしています。ソイチーノにつけるとすぐに、ふわっとした口溶けのよい柔らかさになり、ドライフルーツとナッツの食感と風味が合わさって美味しいです。
橋本さん:ビスコッティといえば硬いお菓子ですが、こちらは大豆粉が多く小麦粉が少ないため硬すぎません。また、大豆粉は水分を吸いやすいので、ソイチーノにつけるとすぐ柔らかくなります。

山下さん:色々と工夫されていますね。新しいチャレンジに大変ご苦労されたのではないですか。
橋本さん:はい。知らないことだらけで・・・開発はかなり大変でしたが、多くの方からのご協力のお陰で実現することができました。
〜続いてこだわりのソイラテ〜
山下さん:私はソイラテをよく飲みますが、酸味が気になることがあります。こちらはどうでしょうか。
橋本さん:いい質問です。実はコーヒーと豆乳は相性がよくありません。豆乳は酸に弱く、コーヒーの酸で分離してしまいます。一般的には調整豆乳にすることでそれを抑えています。私達のこだわりの無調整豆乳は分離がしにくいものの、それでもまだ足りず、コーヒー豆自体を豆乳に合わせて焙煎することにしました。

(豆乳では難しいと言われているラテアートも作れます)

山下さん:酸味がなく本当にまろやかな味わいですね!びっくりしました。
橋本さん:豆乳の温度はバリスタの腕により68度になるように調整しています。豆乳の温度と濃厚さとコーヒーの焙煎の3つがうまく交わることで、チョコレートのような風味になります。こちらもビスコッティと合わせて召し上がっていただきたいです。
〜最後は見た目もかわいいソイチーノ モカ〜

橋本さん:ソイチーノとエスプレッソとチョコレート、そしてホイップクリームは豆乳でできています。
山下さん:ヘルシーで、これから暑くなる季節に飲みたいメニューですね。青空の下にかざして写真が撮りたくなります(笑)。

橋本さん:かなりお腹がいっぱいではないですか。豆乳は満腹感を感じ易いので、一杯でもお腹いっぱいになります。
山下さん:食べ過ぎを防げますね。お腹いっぱいですが、どれもとても美味しかったです。
橋本さん:他には豆乳をふんだんに使用したパンなどのフードメニューも充実しています。ユバサラダに入っている湯葉ですと、ステーキ3分の1枚分のタンパク質が摂れます。


編集部:女性だけでなく、男性にも嬉しいメニューがたくさんありますね。多くの方に来ていただきたいと思います。それでは、最後に川上さんが選ぶ逸品を教えてください。
山下さん:どれも捨て難いですが、まず飲むならこちらを!という意味で、ソイチーノとビスコッティのセットを選びます。忙しい朝の朝食にもピッタリだと思います。

※商品の詳細については店舗までお問い合わせください。
インタヴュアー:地野 裕子 / ルゥルゥ商會
ライター:澤田香織 / YEBISU DESIGN
写真:本多輝正 / LOODY
山下さんに紹介していただいたお店


EVERYSOY
2021/04/03 NEW OPEN
気軽に美味しく栄養補給ができる豆乳に特化したカフェ。 毎日飲みたくなる、苦手な方でも飲みやすい、濃厚でクリーミーな豆乳「ソイチーノ」がおすすめ。
「Stop, Soy’n Go」朝食・昼食として、ちょっとSoyして行ってください。
フロア:1F
業種:Soy&Coffee
TEL:075-366-4828
営業時間:平日 8:00〜20:30
土日祝 9:00〜20:30
(営業時間の最新情報はSNS等をご確認ください。)
ラクエショップページ:http://laque.jp/shops/everysoy.html
THE CLUB マネージングディレクター
山下 有佳子(やました ゆかこ)

1988年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒。ロンドン Sotheby’s Institute of Art にてArt Business修士課程を修了。 2011年より 2017年まで、サザビーズロンドン中国陶磁器部門でのインターンを経て、サザビーズジャパンにてコンテンポラリーアートを担当。主にオークションの出品作品集め、及び営業に関わり、ヨーロッパのオークションにおける 戦後日本美術の取り扱い拡大に携わる。 2017年よりアートギャラリー 「THE CLUB」マネージングディレクターを務める。 2020年より、京都芸術大学 旧京都造形の客員教授に就任。
THE CLUB:http://theclub.tokyo/
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山下さんが出演されたラジオも合わせてお楽しみください。
■5月7日(金)OA 山下由佳子氏(THE CLUBディレクター) ※前編 ラジオアーカイブはこちら
■5月14日(金)OA 山下由佳子氏(THE CLUBディレクター) ※後編 ラジオアーカイブはこちら
「My Tracks」
α-STASION「ONE FINE DAY」11:00〜15:00内
毎週金曜日13:15~5/7~7/30
LAQUEが発信するメッセージ「らしく、いきてく。」をリアルに体現する素敵なゲストを招いて、彼女たちの「track(軌跡)と「track(一曲)」を紐解きます。 ---------